はじめてのパソコン

わたしはそれまで、パソコンというものに触れたことすらありませんでした。

機械や数字にめっぽう弱いわたしですから、

まずはパソコンが使えるようなにならないといけなんなんて、

それはそれは大きな壁が立ちはだかったように感じてしまいました。

でも、なぜかすごく前向きだったそのときのわたし。

 

「ソウイエバ、夫ハ、転職スル前ハ、プログラマーダッタンダ・・・!」

 

意を決して、夫に相談しました。

こういう職業があって、通信教育で学んで、この仕事を始めたい。

でも、パソコンができないと話にならないらしい。なので、わたしにパソコンの使い方を教えて!!

 

何をしてもどんくさいわたし。

きっと 、「無理無理!」とか笑われて、

なかなかウンとは言ってくれないと思っていたのですけど。

わたしの真剣さに押されてか、夫はすんなりうなずいてくれました。

 

よしよしっっ! もうやるっきゃないない!!

 

ひたすら前進モードになったわたしは、

独身のころから持っていたへそくりで、

パソコンを1台買ってしまいました。 ←意外と猪突猛進型です。

 

パソコンがうちに届いた日、

夫が仕事から戻るのも待ちきれず、

説明書をにらみながら、なんとか自分でセッティングに挑戦しました。

 

ガーン・・・・・・。

説明書どおりの画面が立ち上がらない。

さっそく壊してしまったのかも。

夫にも怒られる・・・(汗)

 

冷や汗をたらしながら、

購入した先の大型電器店のパソコン相談窓口みたいなところに電話をしました。

電話口の優しいお兄さんの教えてくれる手順に従って、キーをカチャカチャ。 

再起動・・・・・。

 

ジャーーン♪

うわぁぁぁぁ!!

これが、パソコン・・・。

これが、ウインドウズ・・・。

すごぉぉい。

 

そんな、情けないスタートだったんです・・・・・・。

 

 

テープ起こしの仕事をするためには、ブラインドタッチができるようにならないといけません。

手元を見ずに、

画面を見たまま、タカタカタカタカっと入力できないと仕事にならないんです。

 

でも、わたしが友人宛に送った初めてのEメール、

たった5行ほどの内容を打ち込むのに1時間以上かかりました。

キーボードって、どこに何のキーがあるのかさっぱりわからない。

「なんで、ABCDってアルファベット順に並んでないわけ!!!」

なんて、怒りさえわいてきました。

 

それでも、パソコン買っちゃったわけだし。

 

なんとかしなくちゃと思ったわたしは、まず図書館へ行って、

「1週間でブラインドタッチができる本」

みたいな題名のついた本を借りてきました。

 

これが大当たり!

 

ってねぇ、実はどの本でも同じだったのかもしれませんが、

とにかく、がんばった甲斐あって、

1週間後ぐらいには、なんとか一本指打法から脱出できたのです。
        ↑
 この状態をブラインドタッチと呼ぶには、まだほど遠いケド...

 

その後、

説明本などを見ながら、インターネットに接続して、テープ起こしについていろいろ調べてみました。

そのころは、常時接続ではなかったので、料金を気にしてドキドキしながらの検索。

そして、テープ起こしの通信教育についての掲示板や、

メーリングリストを見つけ入会したりして、

とにかく情報収集することに。

 

最初のうちは、パソコン操作もおぼつかないし、

掲示板やメーリングリストでの情報もついていけない話題があったりで落ち込むことも・・・。

 

でも、 少しずつでも前進している自分がうれしくて、

学生のときにはちっとも楽しくなかった勉強が、

30歳を過ぎて、何かを学ぶってこんなに楽しいんだと思える自分に驚いたぐらいでした。

 

そのころ、上の子は、保育園に通えていたし、

下の子は幸いにしてよく寝てくれる手のかからない子だったので、

お昼寝のすきにネットで調べたり、

おっぱいを飲ませながら、図書館で借りてきたハウツー本を読んだり。

ほんとにのろのろではありましたが、なんとかパソコンを使いこなせるようになりました。

 

教えてもらうはずだった夫は・・・・・・。

以前プログラマーだったとはいっても、その当時は一本指打法でも十分通用していたようで。

いつの間にかブラインドタッチを習得していたわたしに、

「へぇ、すごいじゃん」

と言いました。

会社から帰ってこないとなんにも聞けないし。

疲れているところにいっぱい質問すると怒りっぽいし。

くだらないことで夫婦げんかをしないためにも、

なるべく夫には頼らずに、自力でこつこつとがんばりました。

でもね、今思うと、それがよかったんだと思います。

自分で四苦八苦しながら覚えたことって忘れない。ちゃんと実になっている気がします。

 


通信教育

パソコンと格闘しながらも、

テープ起こしの技術を習得するために、通信教育を検討していました。

実家のお店を本格的にたたんでしまうまでにはまだ時間があるようだったので、

まず1年間は、パソコンと通信教育の勉強時間に充て、

来年の今ごろには、少しずつでも仕事をスタートさせることを目標にしました。

 

この仕事を知った例の雑誌には、

テープ起こしの通信教育の会社が幾つも載っていて、 それぞれ講座の料金も違います。

あんまり安過ぎても実のない内容だったら困るし。

すごい高い料金を払っても、中身を見て漠然という結果になったら嫌だし。

どこも、講座修了後には就業支援の体制があるとなっている。

何社か資料請求してみましたが、パンフレットが届いてもますます迷うばかり。

 

えーん 決まらないよう。

でも、パソコンでの情報収集になれてきたころだったので、

いろいろと検索してみました。

わたしと同じように、通信教育について迷っている人や、

テープ起こしを勉強したい人の集まっているサイトを見つけました。

掲示板には、受講者の体験談も多く寄せられていました。 

 

フムフム・・・。

 

調べてみると、

通信教育を受けること自体、賛否両論で、

やる気さえあれば独学でもできるという意見もけっこうありました。


でも、その当時は、ある2つの会社の受講者が圧倒的に多くて。

 

一つは、

かなり低料金で、内容もやさしい

そんなに苦なく受講できるけど、あまり実践的ではない

修了時の実力テストになって初めて本番さながらのテープになるけど、

いきなり難し過ぎて、合格率はかなり低い。

でも、このテストに落ちると就業支援は受けられない

 

もう一つは、

受講料は結構高め。内容もかなーり難しい

のっけから難聴テープで、何を言っているかさっぱりわからないらしい。

でも、高い料金を払ってしまったので引き下がれなかったという意見多し

修了時の試験もやっぱり難しく、合格するのは至難の業

ゆえ、高い受講料を払ったのに就業支援が受けられない人続出

あんなの詐欺商法だとの書き込みも多く不安になる。

でも・・・・・・ 受講後、がんばって職にありつけた人の中には、

あれだけの講座内容だったからこそ、即、仕事に生かせた。

本当の仕事になったら、聞き取りやすいテープばかりではない。

難しい内容はかえって役立っている」 との意見もあり。

 

ずいぶんと、悩みました。

 

そして、結果。

「がくぶん」の日本テープライター教育協会に決めました。

安くて簡単なほうを選ぶことにしました。

 

なぜかというと、やっぱり受講料が高いのはキツかったのです。パソコンは大出費だったし。

内容がやさしすぎて実践的でないとあったけれど、

料金が安いから、とにかく取っかかりをつかむためにはいいかなと思いました。

 

独学でもできるって言う人もいるくらいだけれど、

でも、何をどうしていいかもわからないわたしにとって、

独学するには不安が多過ぎました。

とにかく最低限のところぐらいまでは教材を使ってでも押さえておかないと。

 

あとは、やってみてから考えよう・・・。

 

ずいぶんと、前向きでした。


でも、新しく何かを始めるときには、きっとこれぐらいの行動力がなきゃいけないのです。

 

結果。

通信教育やテープ起こし関連の掲示板で見たとおり、

たしかに、基礎コースというかんじでした。

今、この仕事をしている状態を社会人レベルだとすると、

小学校低学年の学習レベルぐらいかもしれない。

だけど、着実に一歩踏み出せました。

講座を終えたあと、仕事につなげていけるかどうかは、

やっぱり最終的には本人の努力次第だと思います。

どこの通信教育を選ぼうと、

どこかでつまづいてくじけそうになったとき、

なんとかそれを乗り越えられる意志があるかどうか

だと思います。

通信教育を受けたからといって、

ぜったいにこの仕事に就けるノウハウを教えてくれるわけではありません。

実際、テープ起こしの登録会社の履歴書に、「○○通信教育修了」と書いても、

あちらから見れば「だから何?」という程度だそうです。

そんなこと、逆に書かないほうがいいという意見もよく聞きます。

 

見事、実力試験に合格して、就業支援が受けられても、

実際には、コンスタントにどんどん仕事が回ってくるわけでもないようです。

たまーにポツンと仕事が来て、

「1カ月の収入がこれじゃぁ、どうにもなんないよ~」 って言っている人もいました。

 

通信教育は、ただのワンステップに過ぎませんでした。

けれど、ワンステップでも踏み出さなきゃ何も始まらなかった・・・。


現在では、ネットでのWeb通信講座などは、もうちょっと実践的にできているものもあるようです。

個人で独立してもやっていけるように、

請求書や領収書のつくり方まで教えてくれるところもあるようです。

もちろん、悪徳業者もありますから、慎重すぎるぐらい慎重に探してみてください。

教育費だけでなく、お仕事をまわしてもらうのに登録料などをとられてしまう会社は、

基本的にあやしいと思います!!

 

  nanaicon101_09.gif わたしが選んだ通信教育「がくぶん」のテープライター講座です。

 数社の資料をとりよせて、じっくり検討をおすすめします^^

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経験者になるために

通新教育も終盤に差しかかったころ、

わたしはネットでテープ起こしの登録事務所を検索してあれこれ調べていました。

 

受講中の通信教育のテキストを最後までざっと見てみても、

このままでは、なかなか仕事に結びつきそうもないし。

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

つまり、見習として働けるところを探したい。

 

けれど、登録事務所などはどこも経験者を募集しています。

やっぱり、通信教育の修了試験を突破するしかないのかな・・・。

そんなとき、ネットであるテープ起こし専門会社をを見つけました。

 

小さな会社のようでしたが、

そこではスタッフ育成のためのWeb講座をやっていて、

講座を修了すればその事務所でOJTとして登録できる」 となっています。

一定のレベルに達していれば、講座の途中でもOJT登録」 となっています。

 

チャーーンス!! と思いました。

しかも、会社の住所を見ると、

なんと、

我が家から車で30分ぐらいのところに事務所がある^^

 

講座費 1万5,000円なり。

また出費・・・・・・。

 

けれど、

とにかくわたしは経験者になりたいと思いました。

多少のお金を払ってでも。

 

現に、経験者を募集している会社は幾つかあるわけですから。

まずは経験者にならなくては!

そう考えました。

 

仕事ができるようになれば、1万5,000円ぐらいならすぐに元が取れます。

何よりも、自宅と事務所が近い というのはポイントが高い。

例えば登録スタッフになったとき、

テープを事務所まで直接取りに行くことだって可能です。

これは、事務所の方に対してだって、ちょっとしたアピールになると思いました。

 

そしてわたしは、そのWeb講座に申し込みました。


でも、ちゃんとした会社かどうかやっぱりちょっと心配だったので、

その会社をこっそり外から見に行ったり、

ほかにも登録料がとられたりしないかどうかなど、

下調べも念入りにしたりして。

 

そこは、

実際に仕事で使用したテープを許可を得て教材とし、

それを起こして送信すると、

後日、赤入れ原稿が返されるということになっています。


送られてきた教材テープ。

さっそく聞いてみると、まさに、どこかの講演会のテープです。

通信教育「がくぶん」の教材テープは、

教材用に、いかにもな声優さんがゆっくりとしゃべっているものでした。

断然違います。

これなら、実際のお仕事を体験できます。

 

現在は、音声ファイルでのやりとりがずいぶんと多くなりましたが、

そのころは、まだカセットテープでの録音が主流でした。

テープを起こすに当たっての必需品には、トランスクライバーというのがありました。

テープの再生、停止の操作を、フットコントローラーを使って足で操作できるものです。

これを使えば、キーボードから手を離すことなく入力ができます。

今でも、大方の反訳者は、

カセットテープに録音された音源を起こすときには、これを使用しているんじゃないでしょうか。


でも、この機械、何万円もするんです。

もうそんなに出費できないよー。

 

でも、大丈夫なのです。

おこしやす」 というソフトがあることをネットで調べて知っていました。

この 「おこしやす」 というソフトは、フットコントローラーこそありませんが(自作でできるみたいです)、

パソコンに音声を取り込んで、キーボードで「再生」「停止」「巻き戻し」を操作することができる、

トランスクライバーのソフト版です。


 *「おこしやす」のダウンロードは、こちら (作者Mojoさんのページ) です。


このソフトをインストールすれば、いちいちテープレコーダーをガチャガチャしないでも、

パソコンのキーボードから手を離さずに入力できます。

わたしは、がくぶんの通信講座も、このソフトを使って起こしていました。

今回のWeb講座でも、もちろんこれを使います。

 

全部で4本の課題は全部で4本。

それぞれ約30分ぐらいのテープです。

会社独自の用字用語集と、会社指定の『記者ハンドブック』という用字辞書を使用した表記で、

レベルに合わせて納期が設定されます。

1回目を仕上げて提出すると、

レベルに合わせた2回目のテープが送られてきます。

それぞれ、原稿のフィードバックがあるので、

返された原稿を見直して、自分の弱点などが勉強できるのです。


4回目の課題修了後、トライアルを受け、

一定のレベルに達していれば、いよいよOJTとして働くことができます。

 


あらら、だったら「がくぶん」と一緒じゃないの! と思います?

いえいえ、違うんです。

だって、

実務で使用したテープを、許可を得て教材に使用」となっているんです。

また、

講座での原稿のやりとりも、「実務を想定して、実践的に行います」となっているんです。

 

ということは、

まさに実務を経験できるということ。

たとえトライアルに落ちてしまっても、

実務がどんなものなのかはもう経験済みです。

つまり、

経験者なれる? と考えました。

 

課題は4つ。

最後にトライアルがありますから、全部で5回の実務(さながら)を経験できます。 

これで、わたしも、経験者だ^^

と、考えたわけです。 

 

オン・ザ・ジョブ・トレーニング

新たに申し込んだWeb講座

4回ある課題のうちの2つ目が終わったところで、

トライアルを受けてください」 との連絡が来ました。

やったーーーーっっ!!!


もしこのトライアルで合格すれば、

わたしは、いよいよこの事務所にOJTとして登録することができます。

けっこうハイスピードでここまで来たぞ~~~♪

 

そうして・・・。

わたしは、無事トライアルに合格することができました。 

晴れてOJTスタッフとなったのです。


課題ももちろんきちんとこなしたつもりですが、

事務所の方にとって、

私の家が近い というのはかなりポイントが高かったのではと思います。

 

いくら宅急便やネット環境が整っていても、

いざというときにすぐに会社に来られる距離にいるスタッフは、

会社にとってもメリットのある存在だと思うのです。

 

ほどなくして、顔合わせもかね、事務所へ出向いて契約書類などに記入し、

その帰りにさっそく初仕事のテープをいただいてきました。


テープ1分当たりの単価は70円。

はっきり言って安いです。

1時間のテープを起こしたって、4,200円にしかなりません(涙)


仕方がないと思いました。見習いなんですから。

講座で起こしているのとは違って、少なくとも報酬はいただけるんです。

しばらくの間は赤入れ原稿を返してもらえるので、

それをちゃんと見直して、がんばってステップアップしようと誓いました。

 

初仕事は、

週刊誌に掲載する予定の芸能人の対談。

大女優と日本の伝統芸能の役者さんの会話が録音されています。

「すごーい。こんなの生で聞けるなんて!」

ワクワクしながら入力しました。

 

けれど、仕事ですから締め切り があります。

約1時間のテープで、中2日の納期。

今日、仕事が手元に届いたとしたら、しあさってには納品しなければなりません。

それは、その当時のわたしにとって、ギリギリの納期でした。


実は、

登録会社のスタッフとしては、

1時間テープを中2日なんていうのは、かなりゆったりな納期なんです。


でも、そのころのわたしはまだまだ入力スピードが遅く、

たった5分の会話を起こすのに1時間かかりました。

1時間テープを荒起こしするのに12時間ぐらい必要です。

聞き直しや不明箇所の調べ物で4時間ぐらい。

印刷した原稿をもう一度見直すのにまた3時間ほど。

さらにまた聞き直し、見直しをすることもあります。


フルタイムで8時間労働したとしたとしたって、2日間で16時間ですから、

そのペースでやっても間に合わないぐらいです。

 

それでも、

家事だってやらなきゃならないし、子どもをほうっておくわけにもいきません。

結局、家族が眠った後、夜中の3時ぐらいまで一人パソコンに向かうしかありませんでした。

今思うと、ほんとうによく頑張ったなと思います。

それでも、仕事が楽しくて。


入力スピードが上がればもっと楽になるし、仕事もたくさんこなせるようになる。

そうして仕事量が増えれば収入だって増えるし、単価だってアップしてくれるはず。

そう思えばがんばれました。

 

目標があるって、すごい力がわいてくるもんだ ^^

 


必死でがんばった初仕事。

なんと、大失敗に終わりました。(涙)

 

事務所の方からテープをお預かりしたとき、

ほどほどに整えて」 という指示をいただいたのですが・・・。

 

芸能人の対談テープだというのに、

「ケバ」をすっきり取り除いてしまい、雰囲気の感じられない文章に仕上げてしまったのです。

 

その対談の女優さんは、とてもまったりとした口調で、

「それでねぇ」 とか 「って思ってるのよねぇ」とか、そういうしゃべり方。

 

なのに、

「それで」 とか 「と思っているのよ」 とか。

わたしが仕上げた文章だけ読むと、はきはきとしゃべる人みたいです。


"ほどほど" の加減がよくわからなかったのです。

結局、事務所の方に手直ししていただきましたが、しょっぱなから叱られてしまいました。

 

でも、

しばらくして、

本屋にも、コンビニにも並んでいる有名な ある雑誌に

この対談が載っているのを見つけたときは、ほんとうに、うれしかったですよ~^^